「トリートメントした直後はいいのに、翌朝には広がってしまう」そんな経験ありませんか?
実はそれ、髪のpHバランスが乱れたまま施術を終えているからかもしれません。
髪の仕上がりを整え、補修効果を安定させるために欠かせないのが、「等電点に戻す」というステップ。
今回は、髪の等電点とは何か? なぜ戻す必要があるのか? を徹底解説します!
「等電点」って何?美容師が理解すべきpHの基本

髪はpH4.5〜5.5の弱酸性が最も安定した状態にあり、この範囲を「等電点(とうでんてん)」と呼びます。
この状態では、
- キューティクルが閉じ、表面が滑らか
- 髪の内部が安定し、水分保持力が高い
- 外部刺激(熱・紫外線・化学処理)に対しても比較的強い
つまり、髪が最も健やかに保たれるpHバランスの状態です。
pHバランスが崩れるとどうなるの?
カラーやパーマ、縮毛矯正などの施術では、髪はアルカリに傾きます。
アルカリ状態になると、
- 髪が膨潤(ふやけた状態)し、キューティクルが開く
- 内部成分(PPT、CMC)が流出しやすくなる
- 親水性に傾き、広がり・パサつき・うねりが出やすい
これを放置して施術を終えてしまうと、補修効果が不安定になり、持ちも悪くなってしまいます。
等電点に戻すとどうなるの?
等電点に髪を戻す=pHをpH4.5〜5.5に安定させることで、以下の効果が得られます。
安定化の効果
- キューティクルが閉じる → 髪表面が整い、ツヤ感UP
- 内部成分が定着 → PPTやCMCが抜けにくくなる
- 電荷が中和 → 髪が広がりにくく、まとまりやすくなる
- 疎水性が回復 → 水分の吸いすぎ・乾燥を防げる
等電点に戻すことで、仕上がりの持ち・手触り・ツヤが良くなります。
等電点に戻すにはどうするの?実践編
等電点に戻すには、酸性の調整剤を使用します。
使用するアイテムの特徴
- クエン酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸を含む
- 髪に刺激を与えず、ゆるやかにpHを戻す処方設計
製品例:ワクワクneo キトキト
- キトサン+弱酸性のバッファー(pH調整剤)配合
- 疑似キューティクル形成との相乗効果で、安定した仕上がり+補修持続を両立

ワクワクneo キトキト
ヒドロキシプロピルキトサン、ナノ化キトサン(保湿・補修成分)を配合した酸性リンスです。
施術ステップにおける位置づけ
等電点調整はトリートメント工程の最終段階で行います。
例:トリートメント施術フロー
- PPT・CMC導入(補修)
- ポリフェノール(引き締め)
- ヘマチン(定着・架橋)
- キトキト(pH調整・等電点リセット) ← このステップ!
- オイル・18-MEA仕上げ(保護)
これにより、トリートメント成分を「入れて→固定して→安定化させる」という設計が完成します。
お客様への提案トーク例
「今日の施術の最後に、髪のpHバランスを安定させる“仕上げのリセット”をしていきますね。
これで、トリートメントの効果が長持ちしやすくなって、手触りもずっと良くなりますよ。」
こう伝えると、「最後の仕上げ=プロのこだわり」として、お客様の信頼度もアップします。
まとめ:等電点に戻す=仕上がりの質を決めるラストピース
- 等電点(pH4.5〜5.5)は、髪が最も安定する状態
- アルカリ処理で膨潤・流出した状態を元に戻すために必須
- クエン酸などの酸性処方で、髪を自然にpH調整
- キトサンやバッファー成分と組み合わせると補修効果が安定
- 最後のリセットで仕上がり・持ち・まとまりが一段上のレベルに!
この「等電点リセット」は、美容師としての完成度を高める最終工程です。
目に見えない部分でこそ差が出る、だからこそプロとしての信頼につながる技術として、しっかり身につけていきましょう。