「トリートメント=補修」と思っているけど、具体的に何を補修しているのか?って聞かれると、ちょっと答えに詰まるそんなことありませんか?
実は、補修の要になるのは髪の中身を構成する【PPT=タンパク質】なんです。
この「何を入れるか」の視点を持つことで、トリートメントの仕上がりも、お客様の満足度も、大きく変わります。
今回は、その中身=PPTについて、基本から応用までをわかりやすく解説します。
そもそもPPTとは?そしてなぜ「疎水型」が重要なのか?
PPTとは、加水分解されたタンパク質(Polypeptide)ポリペプチドのこと。
髪の主成分「ケラチン」に近い構造を持ち、ダメージによって流出したタンパク質の代替補給として用いられます。
中でも「疎水型PPT」が重要視される理由は、髪本来の構造である疎水性に近づける性質を持っているからです。
髪がダメージを受けると親水性に偏り、水を吸いやすくなり、ハリやツヤを失います。
疎水型PPTを導入することで、髪内部の水はけが良くなり、芯のあるツヤ髪に導くことができるのです。
PPTは髪の足りない部分を埋める部品と理解しよう!
分子量の違いで「入る場所」と「効果」が違う
疎水型PPTには分子の大きさの違いがあり、それぞれ髪の中での役割が異なります。
分子量 | 特徴 | 主な効果 | 使用タイミング |
---|---|---|---|
低分子(400~1000) | 非常に小さく、髪の深部まで浸透 | 弾力、保湿、柔軟性 | 最初の導入として◎ |
中分子(~5000) | 内部にとどまりやすいサイズ感 | 強度回復、密度アップ | 中間補修ステップに最適 |
高分子(10000以上) | 表面にとどまりやすく、皮膜形成 | ハリ感、持続性、表面保護 | 最後のコートとして活用 |
このように、分子量の違いで「どこにとどまって、何をしてくれるか」が変わります。
複数の分子量を組み合わせることで、内部から外部まで段階的な補修が可能になります。
由来で仕上がりが変わる!ケラチン・コラーゲン・シルクの違い
PPTは原料によっても性質が異なり、髪の状態に応じて使い分けることが重要です。
由来 | 主な特性 | 向いている髪質・目的 |
---|---|---|
ケラチン | ハリ・コシを与える/毛髪の主成分と同質 | 痩せ毛、軟毛、ボリュームUP |
コラーゲン | 柔軟性・保水力に優れる | パサつき、ゴワつき、うねり毛 |
シルク | ツヤ・滑り感を向上/軽やか | 硬毛・広がりが気になる髪 |
たとえば、
【ペタッとしやすい細毛】
=ケラチンPPTを中心に
【乾燥してゴワつく髪】
=コラーゲン+シルクPPT
上記の構成で質感を柔らかく保ちます。
誘導体化で効果が進化する!カチオン・アルキル・シリル化とは?
PPTはそのままでは髪に吸着しづらいため、「誘導体化」と呼ばれる加工が施されています。
この加工によって吸着性や保護力、ツヤ感などが強化されます。
加工名 | 特性 | メリット |
---|---|---|
カチオン化 | プラス電荷を持つ | 髪のマイナス電荷に吸着しやすい |
アルキル化 | 疎水性を強化 | 水を弾きやすくなり、保湿力UP |
シリル化 | シリコン類似膜形成 | 熱保護・滑らかさ・ツヤ感向上 |
この「誘導体化のチューニング」こそが、リトル・サイエンティスト製品の精度の高さでもあります。
最強のバランス処方、3種混合原液の実力とは?
リトル・サイエンティスト業務用粧剤の「ワクワクneo 3種混合原液」は、ケラチン・コラーゲン・シルク由来のPPTを独自比率で配合。
さらに、疎水グラフト技術によって油分を融合させ、髪への定着性と疎水性を飛躍的に高めています。

ワクワクneo 3種混合原液
種類の異なった起源および低・中・高分子量の疎水グラフトPPT(ダメージ補修PPT)をバランスよく配合したトリートメントです。
この一液により、
- 内部のボイド(空洞)を段階的に補修
- キューティクル接着に作用
- 髪の芯からのハリと、表面のツヤを同時に演出
PPTの教科書的なバランス設計が、技術の再現性と安定した仕上がりを支えます。
どのPPTを、どう組み合わせるかでプロの引き出しが決まる
仕上がりを操るには、PPTを「目的別に使い分ける」という視点が欠かせません。
たとえば、
【補修重視】
▶ナノ化CMC → 低分子ケラチン → 中分子ケラチン → 高分子コラーゲン
【ツヤ&柔らかさ重視】
▶ナノ化CMC → シルクPPT → シリル化PPT仕上げ
【ハリ・弾力アップ】
▶ ケラチン中心にアルキル化されたPPTでコート
このように、「どの順番で、どのPPTを、どこに使うか」を設計できることが、
プロとしての“引き出しの深さ”になります。
まとめ:PPTを選べる技術者こそ、次のステージへ進める
PPTは「入れること」が目的ではなく、
髪の状態に応じて「どれをどう入れるかを判断できること」が技術者の本質です。
- 分子量で「どこに届くか」
- 由来で「どんな質感になるか」
- 加工で「どれだけ定着するか」
これらを理解し、選び、組み合わせて初めて、あなたのトリートメントは本物になります。